彼はいなくなった
Post Type: textPost Date: 2009/06/21
みんなが思うよりもニートの毎日にはいろいろなことがあるし、みんなが思うよりもニートの毎日には何もなかったりする。
ぼくは自室のベランダに出たり、リビングにいたりするときに、いつも彼を確認していた。庭をちらりと一瞥して、眠っているのか、起きているのか、ご飯を食べているのか、蝶々を追いかけているのか、というようなことを。多分それは無意識だったと思う。毎日何度も何度も、ぼくはそれをしていたんだと思う。
彼がいなくなってから少し経った。ぼくの無意識はまだ彼を確認しようとしている。その度に確認できないことを確認させられる。ぼくの視線の先はがらんとしたまま。
雨が降れば、彼は怖がるだろう。近所の犬が吠えれば、彼もそれに応えるだろう。というようなぼくの憂慮も、もう行き先がなくなった。
ぼくはいつか、そういった彼に対する無意識も失うと思う。
生前の彼の写真を探していると、あなたやあなたやあなたの写真がいろいろと出てきてしまった。
あなたはいなくなった。ぼくは思い出を失った。代わり映えなく繰り返されているだけなのか、と蒸し暑い部屋の中でぼんやり思った。